取組事例

　フィリピンでの最高級魚とされるカワボラ「ルドン」を対象とした保全遺伝学的および食品科学的な解析を行なうとともに、「ルドン」の漁師やその他の地域住民に対する社会科学的調査の結果も加えた総合的な考察により、資源保全と持続的活用の両立に向けた方策を見出すことを目的としています。この「ルドン」は、限られた地域の特定の数河川にしか存在しない一方で、これまでに同属3種の存在が報告されるなど未知な部分が多く、本研究ではその特異な生態や局地的な多様化をもたらした進化の過程について、保全遺伝学的手法を用いて解明します。また成分分析や嗜好調査により「独特の味を好む人が多い」とされるおいしさの理由を解き明かそうとしています。さらに「ルドン」漁師やコミュニティへの聞き取り調査による「ルドン」の漁獲・流通の実態に迫ります。本研究を足掛かりに、現地で取り組みが始まった種苗生産や養殖事業との連携を通じて、地域活性化への寄与を目指します。本取組は「黒潮圏科学に基づく総合的海洋管理研究拠点」の一環として進めてきました（新型コロナウイルス感染拡大により、調査が休止中）。

　フィリピンとの往来が可能になり次第、再開する予定です。