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鹿児島県与論島のサンゴの海の保全と再生を目指す地域社会の取り組みとその支援の研究

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鹿児島県大島郡与論島の航空写真。 上空からもサンゴ礁の礁縁が確認できる。
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サンゴ礁を含む与論島の地形図に、地下水流と水道原水の取水井戸を書き込んだ。陸域の富栄養化物質が海域に流出している。
取組概要

 奄美群島の与論島は鹿児島県最南端に位置し、美しいサンゴ礁が発達していたが、1998年の世界的な白化現象の折にサンゴ礁は大きなダメージを受け、特に礁池内では現在に至ってもほとんど回復が見られない状態である(礁池外は回復しつつある)。高知大、東京農業大、琉球大等の研究者からなる研究グループが、科研費等を導入して自然科学と社会科学の両面から研究を進めた結果、陸域の経済活動起源の富栄養化物質がサンゴ礁性石灰岩の大地に浸透、地下水を経由して海域に流出、礁池内で造礁サンゴの再生を妨げていることを見出した。その対策としてサトウキビ農業の施肥の効率化や畜産廃棄物の堆肥化などの対策が有効であることを打ち出し、地域のステークホルダーを糾合したヨロンの海サンゴ礁再生協議会(現在はNPO法人海の再生ネットワークよろんに改組)が立ち上がって、サンゴ礁再生を目指す活動が本格化した。研究グループはサンゴ礁の劣化や富栄養化物質流出のメカニズム等のさらなる解明に取り組むと共に、地域住民の活動を科学の面から支援し、地元での講演会などのアウトリーチ活動を行っている。2022年度は、科研費の区切りの年としてオンライン報告会を行い、科研費による研究成果を報告、地元住民を中心に20名以上が参加し、議論した。


今後の展開

 直近の科研費による研究結果の中で最も注目すべき点は、富栄養化物質のリン酸塩がサンゴ礁再生を妨げるメカニズムについて、一定の知見が得られたことである。今後も科研費等を申請し、新たな知見を生かしたサンゴ礁再生について研究する。

担当者
  • 教授
    新保 輝幸
    高知大学 総合人間自然科学研究科黒潮圏総合科学専攻
    高知大学 教育研究部 総合科学系 黒潮圏科学部門
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