SDGs取組事例集一覧
取組事例テーマ
泌尿器がんにおけるアミノレブリン酸(ALA)を用いた光線力学診断の偽陽性を解消する戦略
図1:(左)ネガティブコントロールおよび(右)アミノレブリン酸で処理された癌細胞は、PpIXとして特異的に蓄積し、光励起後に赤色蛍光を発する
図2:様々なALAの取り込みトランスポーターの役割を示す概略図
取組概要
光線力学的技術を応用した新たな医療技術が普及してきています。ALAは、光感受性物質という薬剤として、がん診療における臨床現場で使用されています。ALAは、天然のアミノ酸であり、ヒトを含めた生命の体内でも日々生合成されています。つまり、ALAは、「持続可能な、環境にやさしい薬剤」と言えます。ALAを外的に投与すると、がん細胞特異的にプロトポルフィリンIX(PpIX)が異常蓄積します。異常蓄積したPpIXに青色光を照射すると、PpIXが赤色蛍光を発するという特徴を利用し、術中蛍光ナビゲーション下で「赤く光るがん組織」を切除することができます。しかし、新たな課題もあります。膀胱がん手術の際、正常細胞にもPpIXが蓄積する、つまり偽陽性(がんではないのに赤く光ること)があることが、現在の課題となっております。我々は、この偽陽性を改善し、より診断精度の高い医療技術を開発することに取り組んでいます。
今後の展開
泌尿器細胞株および患者らの検体サンプルのトランスポーター発現量を評価し、ヒトに使用可能なトランスポーターの阻害剤を解析していきます。そして、正常細胞内のPpIX蓄積量を抑制することで、偽陽性を解消することを目指して、研究を進めています。
担当者
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高知大学 医学部附属光線医療センター
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