SDGs取組事例集一覧
取組事例テーマ
植物の生長促進と土地の有効利用を目指して 〜微生物型人工シデロフォアを用いた取り組み〜
図1 植物における鉄取り込み機構
図2 鉄欠乏イネに対するシデロフォアの効果
取組概要
植物において鉄は光合成を担う葉緑素を合成するために必要不可欠な元素である。一方、鉄は通常、不溶性の水酸化鉄(III)の状態で存在しており、特に、アルカリ性土壌は植物による鉄の可溶化・吸収が困難なため、植物の育成には適さない。しかし、人口増加に伴う食糧需要を満たすためには、こうした土壌の有効利用が必要である。植物には2種類の鉄吸収機構(図1)が知られているが、多くの植物がStrategy Iを用いている。本研究では、このStrategy Iを用いた鉄吸収を促進させるため、微生物の鉄輸送化合物(シデロフォア)に着目した(図2右) 。微生物シデロフォアそのものは植物(イネ)に対する利用効率が低いが(図2写真右) 、改良した人工シデロフォアでは Strategy I Iを用いるイネ科植物においてもStrategy I を用いた鉄供給が可能であることを見出した(図2写真中)。
今後の展開
現在、より合成が容易で被還元性の高い人工シデロフォアを用いて、アルカリ条件下での植物への鉄供給能を検討している。
担当者
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高知大学 教育研究部 総合科学系 複合領域科学部門
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高知大学 教育研究部 総合科学系 生命環境医学部門
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