大学紹介

平成16年度 高知大学卒業式告辞

 平成16年度の卒業式を迎えるにあたり、卒業される皆さんに心からお祝いを申し上げます。

 また、ご出席くださいましたご家族の皆様には、ご子弟の大学卒業の晴れの日を迎えられ、感慨もひとしおであろうとお祝い申し上げます。

 ご列席くださいました関係者の皆様に、高知大学を代表いたしまして、お礼を申し上げます。

 卒業する皆さんは、今この時、高知大学に入学された頃を思い起こされれば、膨大な知識と技術が身についている今の自分にあらためて気付かれることでありましょう。皆さんの身についたこれらの知識、技術は、教職員や先輩の優れた指導なくしては到底達し得なかったレベルにまで高められていることにもまた、気付かれることと思います。

 教職員は、在学中の皆さんの努力に対し、あらためて真摯な敬意を表すものであります。

 この卒業の日にあたって、私たち教職員が今、皆さんに期待していることは、習得された知識、技術を持って、21世紀に、真の市民社会を実現するための課題を発見し、これを解析し、対策を企画、提案し続けてくれることであります。そして、進んで評価を求め、一層の進歩を期する心を持ち続けてくれることであります。

 広くは世界の、近くは私たちが生活する地域社会の現状を見るとき、多様性ではなく、多くの混乱の中に一刻一刻が過ぎつつあることを知ります。そこにある混乱の根底には、文化の違いや考え方の基本について、あまりに軽々しい対応があると思います。軽佻な言葉だけが踊り、深く相手を思い、自らも謙虚に考える姿勢の欠如が、極めて大きな原因となっております。

 他者についてよく知り、そして自らを省みる心を基本とし、皆さんの身についている知識、技術を総動員すれば、多くの困難を克服できるばかりでなく、皆さんの手で皆さんの21世紀を創り出せると信じております。

 その意味から今日、卒業していく皆さんへの餞として、「他を知りて後、自らを省みる」という言葉を贈ります。

 今日から5年後、10年後という区切りでもよい。あるいは何事か達成できたときでもよい。または胸に悩みを抱えたときでもよい。母校である高知大学を訪ねていただきたい。皆さんが過ごしたキャンパスに昨日までのあなた方自身を、後輩の中に必ずひとりは見つけるはずです。その時、皆さんに新たな希望と夢が生まれるでありましょう。母校は、その時々の皆さんの心を映して、時に母のごとく、時に父のごとく迎えるでありましょう。そして皆さんには、さらなる勇気と希望が湧いてくるでありましょう。

 健康にはくれぐれも留意され、全世界のどこにいようとあなた方自身の21世紀を創り出すための活躍をされることを強く期待して、学長告辞とします。

 ご卒業おめでとう。


平成17年3月23日

国立大学法人 高知大学 学長 相良 祐輔


 

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