平成23年度 高知大学入学式学長告辞
新入生諸君、高知大学入学、おめでとう。
多年の努力が実を結び、本日ここに、めでたく入学を許可された諸君を、本学教職員と在校生一同は、 心から歓迎いたします。
ご家族の皆様も、さぞご満足の春と、お喜びを申し上げます。ご来賓の皆様には、ご臨席頂きましたこと に、お礼申し上げます。
21世紀になりまして、はや十年余を過ぎましたが、日本国のみならず広く世界の、あらゆる領域と言っ て良いほどに、多様な場において、ただならぬ混迷が続いております。その根底には、自然を尊び、人を敬 愛する精神の甚だしい脆弱化が、観察されます。
今、日本では、教育の在り方に、多くの国民の関心が集まってきております。多くの日本国民の関心とは、 世界の人達から、信頼と敬意をもって遇せられる日本であり、日本人であるためには、人間の営みとしての 教育という視点から、どのような高等教育の場が、国立大学に相応しいのかが、問いかけられているのだと 考えます。
この問いかけに真剣に応えながら、生まれ変わった国立大学法人高知大学は、歩み続けています。 初代学長として、全学に呼びかけている四つのCを、今、ここに、新入生、諸君にも呼びかけます。
すなわち、社会が求めている変革CHANGEを良く認識し、入学式を迎えた今日、この時を絶好のCHANCEと捉 え、徒におそれることなく果敢に挑戦CHALLENGEし、君たちの時代である21世紀に相応しいパラダイムを 君たち自身の手でCREATEするための準備、人間形成を、高知大学の学生の時期にして下さい。なぜならば、 21世紀の日本を担うエリートとは、他ならぬあなた方、学生諸君であるからであります。
高知大学の主役であるあなた方学生諸君が、この四つのC、すなわちCHANGE CHANCE CHALLENGE CREATE を、胸に刻んで、実学に基本をおいた、知の創造と継承の場としての高知大学で、明日の社会に求められて いる人材、エリートとして育って頂くことを強く期待します。
諸君は、本日から、学生であります。生徒ではないのです。生徒は、学校で習い教わる人ですが、学生と は、大学を利用して、自らが課題を求め、自ら学ばんとする人であります。教えてもらうことを期待する 人は、必ずや、失望するでありましょう。大学が自分に何かをしてくれるのではなく、諸君自らが、大学 で何を求めようとして、今日からのキャンパス生活を過ごすのかが、問われるのです。諸君の人生で、二 度とは得られないこの大学生という機会を、十二分に、生かし切って卒業の日を迎えて下さい。大学の教 育とは、教壇からの講義に止まるものではありません。世代を超えて、人が集まって学び、議論し、刺激 しあって成長するところに大きな意味があります。社会が求め、期待している21世紀の人材、エリート として、やがて諸君を送り出す日を迎えることは、四つのCを掲げて進む高知大学の歴史のマイルストー ンなのです。
それぞれが、それぞれの立場で、それぞれの責任の下に、21世紀に相応しい人間に成長しようと、楽し く充実したキャンパスでの日々を過ごして頂きたいと、希望しまして、平成23年度の入学に際しての、 学長告辞とします。
平成23年4月3日
国立大学法人 高知大学 学長 相良 祐輔