大学紹介

2015年を迎えて

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
 昨年はたいへん災害の多い年で、未だ災害からの回復ができていない地域の方々もおられると思います。改めまして被害を受けられた皆さんにお見舞い申し上げます。
 一方、高知大学は昨年、地域協働学部の新設が認可されたと同時に、教育学部は、幼児教育から初等・中等教育まで対応できる本当の意味での教員養成学部に生まれ変わっています。今年は、農学部と人文学部の改革を実現する年であります。是非ともよろしくお願いしたいと思っています。
 さて、大学改革は、教育の成果を上げるための隘路を取り除き、私たちが考えている理想とする理念の具現化であると考えています。その意味におきまして、教育学部から生涯教育課程がなくなることは、私たちの理念に沿うものでもなく、また、社会的ニーズに必ずしも沿っているものでもないような気がしており、今でも個人的には忸怩たる思いがあります。教育学部の先生方には、是非とも教員養成課程におきまして、生涯教育課程の輝きを失わない教育を継続していただきたいとお願い申し上げます。
 今年の高等教育界で最も焦点となるものは、改正学校教育法と改正国立大学法人法の施行でありましょう。この二つの法律の改正は、大学の教授会が必ずしも良識の府ではないと社会が査定した結果であると考えていますが、一方では、法人化以降私たちが自律的に進めてきた大学改革が、社会に理解されていない、すなわち広報不足であった国立大学の責任でもあると考えています。大学教員には、良識と知識と、それから指導力と、経営感覚といったようなものが求められていますが、先生方が成し遂げた業績は社会に問うてこそ初めて意味があるものであると考えますので、これからの広報は更に重要な位置にあると考える次第であります。
 大学ガバナンスが日本中から注目されてくる年でありますが、私は、大学のガバナンスというものは一方的なトップダウンのようなものではなく、お互いの意識の共有であり、同時に学長の意志を教職員が迅速に理解し、また、教職員の意識を学長が理解するといった双方向性の理解が推進されてこそ大学のガバナンスが成り立つものと考えています。そういう意味において、去年もお願いしましたが、是非とも、現場からのいろいろな提言があることを私は期待しています。また、教育において私たちが学生に伝えていることは、少なくともその理念については、私たち自身も実践すべきことであると考えています。自律的、能動的な学習を是とする高知大学において、我が教職員はすべからく自律的、能動的な業務遂行者であることを期待しています。そうでなければ、学生は私たち教職員を信頼しなくなるでしょうし、学生に信頼されない大学ほど学生に対して不利益をなす大学という結果になることでありましょう。そういう意味でも、私たちと学生の距離をこれまで以上に近づけてお互いをもっと理解し、学生から頼られる大学にならなければ、何年も言っているところの就職率、留年率といったようなものは、なかなか改善されるものではないと考えています。体制が揃えば何かができるというものではない、我々が伝えたいことを学生が理解し、そのことをもって我々を信頼してくれる大学になって初めて、これまで私が言っている問題が解決される大学ができると考えています。是非とも、学生との距離をこれまで以上に近い関係にしていただきたいとお願いします。
 また、現在大学改革の進行中でありますけれども、皆さんによく理解していただきたいことは、みんなで考えたからそれが正しいとか、手順を踏んだ内容であるからそれが正しいというような考え方はそろそろやめていただきたい。私たちは、議論の底に理想とする理念を持って議論をし、そのことをお互いが批判しあい、いわゆる相互批判、あるいは自分自身を批判し、そのことによってより正しい方向を見つめることがなければ、社会から理解される大学の改革というものはなかなか実現できないのではないかと考えています。これまでも他の部局の提案に対して批判的な意見を出すことは、どちらかというとタブー視されてきました。しかし、それではいつまでたっても一つの大学になったという理念、あるいはお互いの一体感というものは生まれないでありましょう。お互いの欠点を批判しても、そこで冷静に議論し、理解し、そしてよりよい結論を導き出すような関係であってほしいと願っています。
 昨年末に土佐経済同友会から提言がありました。これは、「高知大学の地域協働学部と地域連携推進センターの中核機能を追手前小学校の跡地に誘致しよう、あるいは、学生寮とか地域・学生交流プラザをそこにおいて、高知県、高知市と高知県内の大学のつながりをもっと深くしよう」という提言であります。この中には、具体的には高知大学という名前しか出ておりませんけれども、私は、これは、高知大学だけではなく、高知県内の高等教育機関全てに、どれだけやる気があるんだということを質す提言でもあると考えています。そのつもりで皆さんにも県内の高等教育機関との連携を積極的に進めていっていただきたい。高知大学の独り勝ちというようなことは決してないと、私は考えています。お互いが連携して初めて高知県の再生は成るでありましょうし、お互いが信頼し合ってこそ真の連携が生まれるのだと思っています。
 最後に、昨年の地域協働学部と教育学部の組織改編、あるいは新設により、高知大学は見事に変身できる大学として社会から注目されていると思います。この時を逃さずして次の改革を進めなければなりません。このような改革の時期にあるからこそ、私は高知大学の源流を訪ねる時期ではないかと考えています。私は、旧制高知高等学校初代校長江部淳夫先生訓辞の一句「感激あれ若人よ、感激なき人生は空虚なり」も好きではありますが、今だからこそ、次の言葉を教職員の皆さんに心に留めていただきたい。「汝らが前に高く高く理想を掲げよ、さすれば道は坦々として汝等が前に開けん」。今年も学生に夢を与え、また学生から夢をもらおうではありませんか。そして、理想に向かって一丸となって進みましょう。

 

2015年1月吉日

 

高知大学 学長 脇口 宏

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