平成30年度 高知大学入学式告辞
高知大学へ入学を許可された皆さん、ご入学おめでとうございます。在学生、教職員を代表してお祝いと歓迎の言葉を贈ります。
保護者の皆さま方、おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。
また、ご多用の中、ご臨席賜りましたご来賓、関係者の皆さま、ありがとうございます。高知大学を代表して、お礼申し上げます。
皆さまは今日から、高知大学の一員となりました。「チーム高知大学」のメンバーなのです。チーム高知大学という共同体に所属する人は全員、仲間であり、兄弟であり、互いに切磋琢磨する友人です。高知大学は、「学生と社会に責任をもつ教育の実践と、学生を自立した社会人、リーダー候補生として社会に送り出す」ことを心掛けています。これからは教職員・学生の隔てなく、遠慮なく、どんなことでも相談してください。
あらためて、もう一言歓迎の言葉を。
Super Regional Universityへようこそ!
高知大学は、地域に根差し、地域と共に発展することで、不断に進化する国立大学 “Super Regional University”を目指しています。平成二十七年に地域協働学部を新設するとともに教員養成に特化した教育学部に改組しました。また、平成二十八年には農学部が海底資源管理までを視野に入れた農林海洋科学部に、人文学部は人文科学と社会科学の総合力を増強した人文社会科学部に、平成二十九年には理学部の地球環境防災を補強しより地域のテクノロジーをサポートできる理工学部へと改組をしました。いずれも、Super Regional Universityとなるためのエンジンを備えるための改組でした。共通教育、専門教育を通して、地域協働型教育をその柱としています。その趣旨は、徐々に皆さんに理解していただけると思います。
THE世界大学ランキングで、高知大学は2年連続601~800位にランクされました。東大と京大のみが100位以内ですが、世界中にニ万以上ある大学の四パーセント以内に位置付けられており、国内の大学の中では14位グループに位置しています。地方の大学の中では研究力の高い大学ということができます。高知大学の学生として、このことは誇りに思って勉学に励んでください。
大学に入学することそのものが目的ではありません。自己実現のための手段だと思ってください。これまでにさまざまな夢を描いてこられたと思いますが、夢は一つとは限りません。皆さんの前にはまだ、あらゆる可能性が広がっていることを是非、この機会に確認してください。
私自身が大学生であったころを振り返ると、音楽サークルでロックンロールやリズム&ブルースに興じながら、アルバイトもずいぶんやりました。農学部での学びを続けるうちに、次第に、土壌学という大地に根差した学問領域に惹き込まれていきました。
初めは、2ミクロン以下の土壌中の粘土粒子表面の電荷の研究に取り組んでいましたが、しだいに、東南アジアを中心としたいわゆる発展途上国の山地における環境修復や農林業の開発などの研究へと関心が移っていきました。私自身はクリスチャンですが、仏教やイスラム教、ヒンズー教、自然崇拝をはじめとする精霊信仰など、さまざまな宗教的背景を持つ人や地域において、異なる自然環境や文化の背景のもと生活が営まれている場面と対峙してきました。このように多様な地域をめぐりながら、発展に伴って築きあげることのできるものと、失われるものを、三十年以上にわたってこの眼で直接見てきました。これから十年後、二十年後にどうしたいのか、どうなっていると予想できるのか、常に自問自答してきました。幸せの形を一言で言い表すことも、一つの方法で実現することも、できないと思いますが、それでも、より良い選択肢はなんなのかを捉えるために、もがいてきました。これから、数年間かけて、皆さんもじっくりともがいてください。
私は、この四月から学長になったばかりです。皆さんと同じ、一年生で、初心者です。より良い高知大学にしたい!地域の人々に高知大学が高知にいてくれて本当によかったと言ってもらいたい!そのために何をすべきかをしっかりと議論しながら探り出し、教職員・学生の皆さんと一緒に切磋琢磨しながら実現していきたいと考えています。
あらためて言います。
入学おめでとう。
Super Regional Universityへようこそ。
平成30年4月3日
高知大学
学長 櫻井 克年