高知大学から海外への留学
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イェーテボリ大学人文学部:2022年8月〜2023年6月(人文社会科学部4年生)
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イェーテボリ大学人文学部:2022年8月〜2023年6月(人文社会科学部4年生)
イェーテボリ大学人文学部
2022年8月〜2023年6月(人文社会科学部4年生)
留学報告
所属 | 人文社会科学部国際社会コース |
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留学開始時学年 | 4年 |
留学先国名 | スウェーデン |
留学先大学 | イェーテボリ大学 |
留学先所属 | Faculty of Humanities |
留学期間 | 2022年8月〜2023年6月(1年間) |
出発前の準備
ビザの有無 | 有 |
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ビザの種類 | 留学のための居住許可 |
その他必要な事前手続き | ― |
必要経費 | |
渡航費 | 約20万円 |
海外旅行保険 | 約8万円 |
その他 |
留学中の生活
履修した授業 | English: Introductory Course Introduction to Academic Studies in English Plain English |
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授業の様子・アドバイスなど | 授業の履修に関して、イェーテボリ大学では一度履修登録が完了すると、高知大学のように履修登録修正期間などがないため変更することができません。そのため、履修登録の際には自分の興味やレベルにあったものなのかしっかりと注意しながら履修することをおすすめします。 また、コースの評価方法にもよりますが、イェーテボリ大学ではグループワークが重視される授業が多く、テストに合格するために個人ではなくグループ全体で協力し合って頑張る印象が強いです。テストやグループでの課題が出されると授業後みんなで積極的に集まってミーティングをすることもしばしばありました。はじめは不安に思ったり緊張したりするかもしれませんが、自分の分からないところ、少し提案してみたいことなどなんでもいいので勇気を出して参加してみてください。 |
課外活動 | ― |
生活費 | |
住居費 |
約5万円 |
食費(1ヶ月あたり) | 約3〜4万円 |
教科書代 | ― |
通信費・交際費など(1ヶ月あたり) | 約2000円(通信費) その他交際費、交通費、旅行代などが必要 |
住居 | |
住居の種類 | 大学の寮(Olofshöjd) |
住居決定の方法 | 留学先大学による紹介 |
住居全般に関するアドバイス | Olofshöjdはキッチンを複数人でシェアし、その管理は自分たちの責任で行います。そのため掃除やゴミ出しなどはシェアメイト同士でいつ・だれが行うのかを相談して決めたほうがスムーズに過ごせると思います。 |
留学先での交換留学生に対するサポート | 定期的に大学やイェーテボリの街、スウェーデンの文化などに関するニュースレターが送られてくるので、留学生としては興味のあるイベント情報や有益な大学のサポート情報などを得ることができてありがたかった。ちなみに留学開始当初は留学生を対象としたウェルカムパーティーがあり、留学生も参加できるクラブ活動や学生団体の紹介、留学生同士のつながりを持てる場などがありました。 |
健康管理面のアドバイス | ー |
学習面/生活面でのコメント・アドバイス
学習面
平等性を重視するスウェーデンでは大学における教授と学生の関係性にもその特徴が見られる。イェーテボリ大学でも同様に、教授であっても敬称なしでファーストネームで呼びあうほど互いの距離が近くフレンドリーである。授業中は学生の積極的参加が求められ、どんなに些細なことでも疑問に思ったこと、気になったことはすぐに手を挙げて教授に聞く学生が非常に多い。特に上記の通り教授と学生の距離が近いため、授業中に質問が教授との議論に発展したり学生同士で意見を交換したり教え合ったりすることも多かった。また、多くのグループに分けて少人数の形態で行う授業も多く、必然的にグループワークが求められることも多かった。当初はアジア人がクラスに自分以外誰もおらず、まだ英語を学習中の自身と違い、周囲はすでに英語を流暢に話せることを前提に専門知識を学んでいたため、グループワークでは自分の意見を言えず、議論において何が分からないのかも分からないという非常に歯がゆい時期を過ごした。しかし途中からグループの議論をただ聞くだけで何もできずに終わる現状を変えたいと思い、まずは自分の分からないことを同じグループメンバーに素直に聞き、なるべく議論の流れを理解しようとすることから始めた。それでもグループワークは難しく苦手意識も未だあるが、コース後半には何か1つでも発言して議論に参加しようとする姿勢をもつことができた。
また”English: Introductory Course”の授業では、グループ発表だけでなく、レポート課題が出た際に2人1組のペアになって互いの書いたレポートを読み、構成やアイデア、文法的エラーなどを総合的に評価しあうペアワークもあった。このような課題やテストでのペア・グループワークでは個人ではなくグループ全体で協力し合って合格するために切磋琢磨する印象が強かった。そのために放課後や休日も積極的に集まって何度もミーティングを行い、互いに分からないところや苦手なところを助け合うことも多くあった。このようなより良い結果を目指して全体で一緒に教え合う学習法は互いの得意分野や知識を活かして新しい学びやアイデアに繋がることも多く、共に良い刺激を受けながら最後までモチベーションを持ち続けることができた。
生活面
私が出国した2022年8月下旬は未だ日本ではコロナへの警戒態勢を解いておらず、人との接触を避けることやマスクの利用が求められていたが、スウェーデンはすでにコロナとの共存に切り替え、誰もマスクを着けていないコロナ以前の生活に戻っていた。はじめからそのような日本での「当たり前」との違いに驚くことから始まった約10か月間の留学生活だった。
イェーテボリはボルボ発祥の地といわれるほど工業が盛んであると同時に、多くの美術館や博物館もあり、美しい島々に囲まれたスウェーデンの人口第2の都市である。イェーテボリ内であればどこへでもトラムまたはバスで移動できるほど公共交通機関が充実しており、周辺の街にも電車を利用して行くことができる。キャッシュレス化が非常に発達しているためどこへ行くにしてもクレジットカード等が欠かせず、私自身この留学を通して1度もスウェーデン通貨を現金で両替することも使用したこともなかった。ちなみに公共交通機関に乗る際もチケットの現金購入はほぼ不可能なため、あらかじめアプリでオンライン決済をして購入する。個人の自由と多様性を尊重することが重んじられており、現地では多種多様な人種の人々が生活する街並みやジェンダー平等を掲げたイベント、各国の多様な食文化の発達など様々な場でこの特徴の一端が見られる。特に多様性という点において、現地で仲良くなった友人たちと話す中でいかに彼らの多くが多様なバックグラウンドを持ちながらスウェーデンで生活しているかということに気付かされることが多かった。幼少期より様々な国での生活を経て移民としてスウェーデンに来た子もいれば、ハーフとして複数のアイデンティティをもつ子もおり、日本では深く意識することがなかった「多様性」を留学中は最も間近で肌に感じた。
スウェーデンの人々は自然との触れ合いを大切にする人が非常に多く、日照時間が長い夏から秋にかけて多くのアクティビティを通してその豊かな自然の恵みを享受することができる。夏はベリー狩りや海・湖でのアクティビティ、秋は多くの人が森や公園できのこ狩りをする姿が見られる。一方で日照時間が約6時間程度となる厳しい冬の時期は、親しい友人や家族と一緒に家でホームパーティーを開き、料理を作ったり語らい合ったりするなどして長く暗い冬を楽しく過ごす工夫をする。このようにゆったり流れる時間の中で過ごしたスウェーデンでの約10か月間は親しい人たちとのつながりを深く感じられる素朴ながらも充実した日々だった。