JICA国際研修
平成28年度
2016年度JICA課題別研修「総合防災行政Bコース」を実施(2016年8月24日~9月28日)
高知大学は8月24日(水)から9月28日(水)までJICA国際研修「総合防災行政B」コースを実施しました。
この研修コースは政府開発援助(ODA)の一環として、独立行政法人国際協力機構(JICA)から高知大学が受託して行ったものです。津波被害を含む災害が予測される10か国(南米カリブからチリ、ガイアナ、グレナダ、ジャマイカ、大洋州からパラオ、ナウル、フィジー、ソロモン諸島、アジアからフィリピン、バングラデシュ)から14名の行政官を招き、南海トラフ大地震等に対する防災に焦点をあて、神戸市、宮城県の被災地、高知県の順に、国、自治体、自主防災組織などの防災の取組みについて視察・講義を実施しました。
まず神戸では、各国の防災の現状をカントリーレポートとして発表し、その後日本の災害対策や神戸で積極的に取り組まれているコミュニティ防災(地元民が中心となって実施される自主防災対策)について学びました。その後、宮城県へ移動した後、行政・住民それぞれの目線での東日本大震災の復興状況と今後の防災対策について知見を深めました。
高知に移動後は、高知新港、浦戸湾外部、内部の三カ所を耐震補強することで津波の被害を軽減することを目的とした三重防御対策の建設現場を土木事務所の方と一緒に視察し、県庁や気象台の方から行政レベルで取り組んでいる防災対策についてご講義頂きました。
また、津波が起こった際に甚大な被害が想定される中土佐町に赴き、中土佐町役場の取り組みを担当者の方から直接ご説明頂き、久礼小学校では、小学校周辺を歩きながら災害時にどのような危険性が考えられるかを体験するフィールドワークにも子供達と一緒に参加しました。南海トラフ大地震対策以外にも風水害・地盤液状化・土砂災害といった様々な災害に関するプログラムを実施し、災害に対する総合的な防災対策について学ぶことにつながりました。
研修の最後には、自国で取り組むアクションプランの作成を行い、公共施設の耐震性の強化、防災マップの作成、コミュニティレベルでの防災意識向上への取り組み等、多岐にわたる提案が行われました。
研修員からは、「避難タワーなどといったハード面と、日頃からの避難訓練等のソフト面が合わさったときに初めて完璧な防災となると実感した。」「県、市や町、専門家、そして住民といった全ての人が防災に対して共に取り組み、関係性を強めることがいかに重要か学んだ。」「高知のコミュニティにおける災害時の自助・共助の意識を高める取り組みがすばらしいと感じた。自国でも同様の啓発を図りたい。」といった感想が寄せられました。
高知大学は、今後も地域資源を活用した国際研修を実施していくことにしています。
2016年度JICA課題別研修「へき地教育の振興」コースを実施(2016年9月3日~9月16日)
高知大学は6月9日(木)から6月24日(木)までJICA課題別研修「“子どもの学びを保障する”へき地教育の振興-MDGs/EFAの達成に向けて」コースを実施しました。
今回の研修コースは、この研修コースは政府の開発援助の一環として、独立行政法人国際協力機構(JICA)から高知大学が受託して行ったものです。 アフリカ・アジアを中心に9か国15名の中央・地方の行政官、研究員などが参加し、へき地校での教育方法の視察や実習、地域住民と学校支援の取組みを視察しました。
視察先の例として、まず高知大学附属小学校において複式学級の指導法を視察・学習し、指導計画の作成の実習を行いました。また、へき地校として高知市の行川学園を訪問し、校内研修や授業研究について視察しました。さらに高知市の土佐山学舎を視察し、地域ボランティアや移住者等との懇談を通じ、地元との連携がいかに教育的観点からも重要であるかということを学びました。研修員は各学校での生徒との交流や給食も体験し、教育レベルの高さと教員の熱心さ、そして地域の方々と学校との連携の強さに驚いていました。
研修の最後には、帰国後の教育改善を促すアクションプランの発表会があり、教育改革案から学校の指導計画作りマニュアルまで各国の現場に応じたアイデアが披露されました。
研修員からは、「日本の複式学級における指導法は、問題解決や協力して学び合う能力を高めることができると感じた。」、「へき地において、地元コミュニティが信念と希望を持って子供の可能性を信じ、学校と良好な関係を築いているのが印象的であった。」といった感想が寄せられました。
高知大学は、来年以降も教育関係の国際研修を実施していくことにしています。